AIによるSEO対策の今後を考察

AIによるSEO対策の今後を考慮の画像

AI検索が普及してきた昨今、
「AIによってSEO対策は無くなるのではないか?」
「AIによってSEO対策はどのように変化していくのか?」
疑問や不安を持っている方も多いと思います。

私自身AIを活用する機会はどんどん増えています。
特にちょっとしたリサーチであればAI検索エンジンをサッと使う方が従来の検索よりも効率的だという印象が強いですね。

そうした直近のAI検索の状況を踏まえて、SEO対策を専門で約8年やっているSEOプロコンサルの私が今後のSEO市場の考察を解説していきます。

この記事を読めば、SEO対策市場の今後の動向把握に必ず役立つと思います。

目次

直近のAI検索のトレンド

2025年現在、検索エンジンで圧倒的検索シェアを誇っているのがみなさんお馴染みのGoogle検索です。
検索エンジンシェアは全世界で90%程度日本でも80%程度というのが最新の数値です。

対象国GoogleシェアBingシェアYahoo!シェア
全世界89.79%3.93%1.27%
日本81.52%7.67%9.24%

参考:Search Engine Market Share Worldwide-Januaru 2025|statcounter GlobalStats
   Search Engine Market Share in Japan-Januaru 2025|statcounter GlobalStats

BingがGoogleよりも早く、OPENAI社との提携からAIチャットを提供した経緯があり、2024年はBingも検索シェアを10%以上と伸ばしていますが、やはりGoogleは圧倒的です。

そんな中、ここ1〜2年でAI検索を使うユーザーも増えてきました。

イノベーター理論でいうイノベーターやアーリーアダプター層です。
簡単にいうとITリテラシーが高めの新しいもの好きの人達です。(私もこの中の一人です。)

新しいもの好きの人たちは以下の検索AIを使って業務効率を大きく上げています。

perplexityの検索画像

上記の表は、perplexityのPro検索で抽出しました。
時間にすると10秒足らずで出力してくれます。

AIを直近で使い始めた人達もChatGPTにsearchGPT機能(検索機能)が搭載されたので、AI検索をしている人も増えていると感じます。

また、perplexityのPro検索GeminiのDeepResearchの情報精度は非常に高く、この記事も執筆しながら、内容はAIで調べています。

従来のGoogle検索しながら調査してた時と比較すると、調査時間は格段に圧縮されました。

そして、Google検索でも、検索結果画面(SERPs)にAIoverview枠(旧SGE)を設置してます。
これは、検索結果画面の最上部に検索キーワードのAI生成枠を表示する仕組みです。

Google検索の画像

去年から日本でも正式導入され、AIを意識していない検索ユーザーもAIoverviewをみて、満足しサイト流入はせずに、離脱するユーザー(通称、0クリック検索)も増えています。

今後の検索クエリ別の検索行動の変化動向予想

AI利用率の予想図

AI検索の動向を説明しましたが、今後利用率はどんどん増えていくことが予想されます。

AI検索が増えるとGoogle検索、つまりはSEO対策の市場はどのような変化が想定されるでしょうか。

Knowクエリの減少

まず、最も大きな影響を受けるのがKnowクエリ(インフォクエリ)と呼ばれる情報収集系の検索キーワードです。
検索市場のおおよそ60〜80%程度あるといわれ、大半の検索クエリはこのKnowクエリです。

Knowクエリが長い年月をかけて少しづつAI検索に置き換わっていくと考えられます。
現状も前述したAIoverview枠の0クリック検索が増えてきています。

私のクライアント様でも、AIoverview枠の表示で30%程度トラフィックが減少した事例があります。

皆さんもイメージしてほしいのですが、気になった答えの解がシンプルにほしい場合、
例えば、

・●●のやり方は何?

・この横文字の言葉の意味なんだっけ?

・このトラブルの解消法をさくっと知りたい

このような検索ニーズの場合、Google検索して上位表示しているサイトを順に読んでいってほしい情報にたどり着いた、
という検索行動より、AIがさくっと欲しい回答を端的に答えてくれた方が楽ですよね。つまりそういうことです。

ただ、Knowクエリは減少傾向になりますが、来年再来年に急にガクッとGoogle検索が減少するわけではなく、
AI検索の普及とともに数年から10年程度かけて、ジワジワと減っていきます。

Google検索に慣れている、もしくはAIはよくわからないから使いたくない、といった年齢層高めの方は依然として今後もGoogle検索を使い続けます。

AI検索が増えた分だけKnowクエリが減るわけではない、検索の多様性

AI検索が増えて、Knowクエリが減るという話をしましたが、KnowクエリがAI検索に減った分だけ置き換わるのではありません。Knowクエリは微減して、AI検索するユーザーがすごく増えることを予想しています

これはSNSが普及した時と一緒で、SNS検索(タグる)が増えて、SEOはオワコン説が一時期流れましたが、結果、Google検索は減るどころか逆に増えました。
そして若い世代中心にSNSでも調べるし、Googleでも調べる検索の多様性が活発になりました。
これはAI検索でも一緒になると考えていて、検索の多様性が複雑になるのでGoogle検索を行うユーザーが無くなることではないです。

ユーザーは、Google検索もするし、SNS検索もするし、AI検索もします
使い分けるんです。
何かの検索行動が無くなることはないです。

みなさんもサクッと回答がほしかったらAI検索だし、動画や画像や、もしくは口コミを見たかったらSNSから探しますよね。
細かい情報収集まで丁寧に調べたいときはGoogle検索も使うでしょう。

もしくは後述しますが、あのブランドサイト見たい、あのECサイトから買いたい、となったら、指名系検索をして目的のサイトに訪問するはずです。

人間はいつの時代も便利なものを使って、最適な行動に着地していきます。
これが検索の多様性がより複雑になっていくということです。

Go/Do/Buyクエリの重要度が相対的に上がっていく

検索クエリの種類は以下4種類に大別できます。

Knowクエリ:ユーザーが「知りたい」「理解したい」という目的で情報収集を行うためのクエリ
Goクエリ:ユーザーが「行く」または「訪れる」ための情報を求めるクエリ
Doクエリ:ユーザーが何か「行動を起こす」ため、または「実行する方法」を知りたい場合のクエリ
Buyクエリ:ユーザーがすでに購入意欲を持ち、実際の取引や購入に直結する行動を起こそうとしているクエリ

Knowクエリの説明はしましたが、他のGo/Do/Buyクエリはどうなるでしょうか。
結論は、重要度が増します。

Knowクエリが徐々に減少していく検索市場で、相対的にGo/Do/Buyクエリの割合が増えるのと、もともとGo/Do/Buyクエリはサイトの成果に直結するクエリで重要です。

Google検索エンジンを主に対象にしたSEO対策では、このGo/Do/Buyクエリの対策の重要度が増していく、SEO対策はサイトやブランドの認知を上げて、指名系検索を増加させることがより大事になってきます。

AISEOとSEO対策の違い

AI検索エンジンに対する最適化手法をここでは「AISEO」と呼びます。
従来の検索エンジンの最適化手法は「SEO」です。

AI検索エンジンの利用が増えていくことで、当然AI検索エンジンで自社のサイトが表示されるような対策をしたいと考える会社が今後増えていくでしょう。

この「AISEO」はどのように対策すればいいのでしょうか。
結論、SEO対策と大きくは変わらないと考えています。

複数のAI検索エンジンで参照元のサイトを見ると、参照するサイト数はAI検索エンジンによって変わってきますが、サイト自体は大きくは変わりません。

これは、Googleの検索結果とも似通っています。
(当然検索クエリによると思いますが、筆者が調べた限りはそうでした)

検索結果のユーザーニーズに合わせて最適に表示させる技術が世界一なのはもちろんGoogleです。
アルゴリズムは複雑でブラックボックスな部分も多いですが、検索キーワードの関連性や、ニーズメット、情報鮮度やサイトの信頼性、被リンクの質と数などがメイン所です。

それではAI検索エンジンは、このGoogleとは全然違ったアルゴリズムでレコメンドする参照サイトを表示させるでしょうか。
答えは”考えづらい”です。

AI検索エンジンもユーザーがほしい情報を回答しようとすると、おのずとGoogleに近しいアルゴリズムで参照サイトを選ぶことになると考えられます。
(中には特殊なアルゴリズムで対象サイトを選ぶAI検索もでてくるかもしれませんが)

そうなると、SEO対策≒AISEO対策 になり、SEO対策を適切に行えば、AISEO対策もできるということになります。

個別の施策ごとではSEO対策では効きやすいけど、AISEO対策では効きづらいというのはあると思いますが、本質的な部分は変わらないと思います。

ただ、AISEO枠に表示されても、WEBサイト運営者の立場だとサイトのトラフィックにつながりづらいために、AISEO対策の優先度は現状の表示のさせかた・仕組みではなかなか上がらないと考えています。

検索行動の変化に対応するためにやるべきこと

では、ユーザー検索行動が多様化する検索市場では何をすればいいのでしょうか。

AIを触ろう知ろう

まずは当然、AIをたくさん触ってAIを知ってください。
まずはここからです。

AI検索動向も自身で日常的にさわるようにすれば、出力の傾向などわかってきます。

また、検索の多様性の話をしましたが、あらゆるコンテンツはAIを活用することで効率的に制作できる世の中です。
テキストも画像も動画もAIを使えば、圧倒的に制作時間を短縮できます。

今度、この流れは我々の想像を超える速さで加速度的に精度が上がっていくと考えています。
生成AIに触れず生産性を上げられない会社は市場から必ず淘汰されます。

SEO対策だけではなく、マーケティング全体を知ろう

Go/Do/Buyクエリの対策は、最早SEO対策の話だけではないです。

SEO対策は数あるWEBマーケティング手法の一つだけしかなく、ブランディングや認知を増やすとなると、広報やマーケティングの幅広い知見が必要になります。

この記事を読んで頂いている方はWEBマーケターの方もいると思います。
AI時代を生き抜くために、WEBマーケティングの一つの領域に捕らわれず、幅広い視野とスキルを身につけましょう。

入口と出口を考えるソフトスキル

SEO対策や検索行動に限った話ではないのですが、生成AIが普及すると分析調査・アウトプット作成の時間がほぼAIが代替できる世の中になり、分析調査・アウトプットをメインで行っているWEBディレクターやアシスタントのような職種は無くなります。

代わりに残って、かつ重宝されるのは入口と出口を設計できる人です。

入口はどんな戦略、どんな調査分析をするのか考えることです。
出口はアウトプット内容を設計して、どのような行動をするか意思決定することです。

この入口と出口以外はほとんどAIがやってくれます。
大事なのは、AIではできない入口と出口を戦略的に設計できるソフトスキルが高い人材です。

クライアントとのコミュニケーションに苦手意識がある方、今後価値がでてくるのはヒアリングからの分析項目決定と提案、もしくはプロジェクト開始後では施策の優先度付けや意思決定、先方説明承認などになりますので、ぜひ徹底的に磨いていきましょう。

Googleが培ってきた三方良しが崩壊?

最後にAI検索が増えることによって懸念している、”三方良し”の崩壊?という話をします。

検索エンジンのエコシステムとして知られている”三方良し”とは、以下の三方の話です。

検索ユーザー:欲しい情報に見つけられて良し
WEBサイト運営者:自社にトラフィックがあり、売上利益の創出につながって良し
Google:リスティング広告の売上利益が増えて良し

しかし、AI検索やAIoverviewが増えると、WEBサイトのトラフィックが著しく減少します。
この減少はすでに始まっています。

そうなると、WEBサイトの運営者としては、とくに減少が激しいKnowクエリ系のページの制作や更新は費用対効果が合わないから辞めよう、となります。

この「Knowクエリ系のページの制作や更新を辞めよう」が加速すると、Googleの検索結果の質低下につながります。
これはAI検索も一緒で、AIの場合、トレーニングデータといいますが、トレーニングデータの質低下が起これば、出力する内容の質低下に直結します。

つまり、WEBサイト運営者に対してしっかりとしたメリットがあるエコシステムを構築しないと、検索市場の崩壊につながるということです。

AIoverview枠では、参照サイトの見せ方を目立つような表示のさせ方に調整していますが、通常の検索結果枠と比べてクリック率(CTR)は相当低い数値と予想されます。

SEO、AISEOを行うことは、検索ユーザーに質の高いコンテンツを届けることです。
このプラットフォームとなるGoogleやChatGPTを開発しているOPENAI社には、この部分を考慮した検索の仕組みを提供してほしいものです。

まとめ

最近のAI検索の動向から、今後の検索市場の動向について解説しました。いかがだったでしょうか。

AIに慣れることから、AI時代における時代の流れをよく考え、状況にマッチした知識・スキルが必要な不確実性の高い社会です。
ぜひ参考にしていただき、今後のお仕事やキャリアに活かしてください。

読んでいただきありがとうございました。

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